負債があれば相続放棄すべき?知っておきたい相続放棄のデメリット
「相続放棄」とは
相続放棄とは、相続人が被相続人の財産や債務を一切受け継がないことをいいます。この法的手続きは、被相続人が有していた一切の財産及び債務を拒絶し、まるで初めから相続人にならなかったかのように扱われます。今回は、相続放棄の利用のメリットやデメリット、そして手続きについて説明していきます。
どんな場合に相続放棄を利用するか(メリット)
一般的に、相続放棄は以下の状況で利用されます。
① 債務超過の場合
被相続人が、財産よりも多額の借金や債務を抱えている場合、借金の負担を回避するため選択されます。
② 遺産相続のトラブルを避けたい場合
家族や相続人間での紛争やトラブルを回避したい場合、相続人でなくなるため、安全な選択肢となり得ます。
相続放棄をした場合のデメリット
しかし、相続放棄は法的な行為ですので、注意点もあります。
① 相続財産には手出し禁止
相続財産に手を出すことで相続放棄が無効になる可能性があります。相続開始後は、被相続人の財産に一切手をつけないよう気を付けましょう。
② 他の相続人に負担をかけるおそれ
相続放棄により、他の相続人の負担が増加する可能性があります。相続放棄をした場合、民法に規定されている法定相続人のとおりに相続の権利が移動します(法定相続人については、コラム「相続とは」に詳しく記載しています)。
③ 放棄の撤回ができない
一旦相続放棄を行うと、後から撤回することはできません。将来の不確実性に対処できるかどうか検討しましょう。
④ 相続放棄した人の子は代襲相続できない
相続放棄した相続人の子供は、代襲相続の権利を失います。
⑤ 相続税の法定相続人の計算では相続放棄はなかったことになる
相続放棄を行っても、相続税の計算では相続放棄が考慮されず、法定相続人の地位が変更されないことに留意しましょう。
相続放棄の手続きについて
① 期限
相続放棄の手続きは、相続の発生を知った日からわずか3か月以内に行わなければなりません。時間に余裕を持って行動することが重要です。
② 手続方法と必要書類
相続放棄の手続きは、家庭裁判所で行います。必要な書類には、相続放棄申述書や戸籍等の書類が含まれます。専門家や弁護士のアドバイスを受けながら、正確に手続きを進めましょう。
相続放棄するときは専門家に相談のうえ慎重に
ここでは、一般的な相続放棄の利用のメリット・デメリットそして手続きを説明してきました。しかし、相続放棄は法的な手続きが必要であり、個別の状況によっては複雑さを伴うことがあります。そのため、実際に行う際には、専門家や弁護士に相談しましょう。